[書評]予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」

Kindleで読書、地道に継続しています。家や事務所の外でしか読まないので、いつもカバンにKindle Paperwhiteを放り込んでいます。
今回読んだのはこちら。

筆者のダン・アリエリーは、行動経済学者です。行動経済学とは、典型的な経済学ではなく、実際の実験やその観察を重視して、人間がどのように選択や行動を行い、その結果がどうなるかを究明することを目的として経済学の一分野だそうです。

経済学の中にある「合理性」は、実際の世の中においてはあまり適用されません。例えば、人間はいつも合理的な選択をするわけではないし、市場も常に合理的な動きをするわけではありません。すると、経済学における答えとも言うべき、「最も合理的な結果」にも到達しません。経済学上は間違っているけれど、よくよく自分に置き換えて考えてみれば、経済学的には間違いとされる行動を取ることに納得できるシーンも少なくないでしょう。
人間は、長きの間にわたってこの「予想可能な不合理」に対して、見て見ぬ振りをしてきたのです。

本書では、筆者のダン・アリエリーは、そうした人間が「見て見ぬフリ」をしてきた『人間がなぜ不合理な選択や行動をしてしまうのか』について明らかにしようと数多くの実験を行い、考察し、その結果を分析・検証しています。そして実験を通じて、他人や環境・自分自身の感情や先入観で、簡単に不合理な意思決定や行動をしてしまうことが明らかとなっています。

この本がすごいのは、私たちが何となく「そうだよな、合理的と言ってもその選択はしないよなぁ」と漫然と思う事柄について、きちんと実験結果を分析し、その理由を明らかにしていることです。理由が分かれば、不合理ではない合理的な選択がきちんとできますからね。

マーケティングの力についても言及されています。
『情報を提供することで、予測される喜びを高め、ひいてはほんとうの喜びも高めようというわけだ。』
想像をかき立てて行動に影響を与える。それがマーケティングの使命というわけです。

マーケティングや営業の人、クリエイターにも役に立つ部分があると思います。

すでに続編も発刊されているようです。

こちらは最新刊。こちらも読んでみたい。