ライターはAIでは届かない言葉を取りにいく仕事

「AIがライターの仕事を奪う」、そんな話を耳にするようになって、しばらく経ちました。実際、ライターの現場でもAIを使う場面は着実に増えています。
一般的に、ライターがAIを活用する場面として、真っ先に思い浮かぶのが原稿チェックでしょう。実際、私自身も最近は原稿チェックにAIを使っています。人の目だけでは見落としがちな細かな誤字や脱字を素早くチェックして指摘してくれます。非常に優秀なツールとして活用させてもらっています。
また、インタビュー前の準備段階でAIを活用するケースも増えました。情報収集や質問内容、構成など、提案を採用するかどうかよりも、さまざまなアイデアを採用すべきか否かの提言を受けつつ判断する、相談相手や壁打ち相手のような役割です。一人で悶々と考えるよりも言語化することでアイデアが整理され、より良いアイデアに昇華されていくように感じています。
ただ、現状のAIには、まだ限界もあります。
例えば、AIで誤字や脱字のチェックを行った際、AI側から表現や構成に関する改善案が出ますが、それらをそのまま採用するケースはほとんどありません。提案が悪いというよりも、最終的には自分の言葉としてしっくりくる表現を選び直すことになるからです。まだまだ人間の感覚や文脈理解には追いついていないと感じます。
また、取材現場に足を運んで相手の話を引き出し、その内容を記事として構成していくプロセスや、そこで得られる情報もまた、まだAIにはたどり着けない領域だと考えます。
私のメインでもあるインタビューでは「現場力」がものをいいます。取材現場での段取りはもちろん、相手の表情や声の調子などの細かな変化を感じ取りながら質問を臨機応変に変えており、それが当初は想定してなかった核心に触れる話につながることがあります。こうした臨機応変な対応力や柔軟な構成変更は、今のAIには決してできません。
AIはとても便利な道具ですが、あくまで「道具」でしかありません。AIという道具で対応できるところは任せ、「人」にしかできない仕事に集中する。そう考えると、AI時代のクリエイターに求められるのは、AIとしのぎを削ることではなく、AIにはできないことを強みとし、AIでは届かない場所まで言葉を取りに行く力だと考えます。
