インタビューは、AIが苦手だと思う理由

私のライターとしての仕事はインタビューが中心で、実際に「どんな仕事をしていますか?」という質問に対しては「インタビューが多いです」と答えています。
このようにさまざまなインタビューに取り組んでいると、「AIとインタビュー取材」の相性はあまり良くないと感じます。その理由はとても単純で、インタビューは「単なる会話記録」ではなく「常に変化するコミュニケーションの物語」だからです。
多くのお仕事で事前に用意した質問リストをクライアントに提出しますが、それはあくまでこちらが空想した地図にすぎません。取材がはじまれば、相手の一言で用意した地図を捨て、頭の中で新たな地図を描き直す…なんてことも日常茶飯事です。それは、相手の本音は用意した質問の答えの中ではなく、「どうしてですか?」、「なぜですか?」などと、身を乗り出して聞いた質問の答えにあると信じているからです。本音を語る瞬間の空気感や表情、話す間などを感じながら、臨機応変に元の地図を描き直し続けながら、コミュニケーションの道を進むのがインタビューであり、だからこそAIが最も苦手とする仕事のひとつだと思っています。
AIはテキストに反応しますが、インタビューの聞き手はテキストになる前の空気感や言葉の間、表情に反応することが仕事なのかもしれません。だから、答えの内容によっては、インタビュー終了後に記事の方向性を変える提案をすることもあります。これは失敗ではなく、取材が成功して良い記事になるサインだと思っています。
AIに事前情報を与えて「インタビュー記事を作って」と打ち込めば、それらしいものが出てくるのかもしれません。しかし、それは誰かの言葉ではなく、インターネット上の平均値のテキストが並んだ「インタビュー風」の文章でしかないんですよね。読んだ人は違和感を抱くでしょうし、何より、AIが生成した文章を「あなたの言葉」として提示される違和感は、インタビューを受けた側にとって小さくないと思います。
加えて、インタビューの価値はアウトプットされた記事だけではないはず。記事にならなかった部分にも価値があると考えています。たとえば「インタビューを受けた結果、自分の考えが整理された」といった経験は、インタビューを受けたからこそ得られた価値だと思います。
だからこそ、まだ当面の間は、インタビュー相手の表情を見ながら次の言葉を待つのは、AIではなく人間の仕事だと信じています。でも、本当にどうなっていくんだろう。。。。
